前置き 1993年頃、大手パソコン通信ネットの掲示板に書いたメッセージを少々書き直した作品。

漢字変換と単語登録

 キーボードで卑猥(ひわい)な言葉や猥褻(わいせつ)用語をタイプし、変換キー(パソコンの場合はスペースキーであることが多い)を押しても一発でお目当ての淫猥(いんわい)な漢字に変換されることは滅多にありません。
 ほとんどの場合は別の漢字が表示されます。
 一回でスパッと思い通りの卑猥な漢字に変換されたら、その日は一日、ルンルン気分で過ごせるのでしょうが、残念ながら一般のパソコン、ワープロソフトではそこまで気が利いていません。
 20回くらい変換キーを押し続けてやっと目的の猥褻漢字が出てくるなんてこともありますし、もっとひどい場合には、変換キーを押すだけでは目指す淫猥単語にたどり着けないということもあります。
 パソコンの単語区切り認識が間違っている場合には、区切りを変えてから、同じように変換キーを何度も押さなければなりません。
 また、どうやっても表示したい卑猥単語が出てこないこともあります。卑猥漢字の多くはJIS第2水準に属してます。そういった漢字は変換キーを押すだけでは決して現れません。
 滅多に利用されることのないJIS第2水準の漢字は、今でこそOSやFEP(フロントエンドプロセッサ)の度重なるバージョンアップにより、比較的簡便な方法で表示できるようになりましたが、一昔前までは漢字コード表から単語を見つけ出し(これがまたやたらと時間がかかった)、そこに書かれたコード番号をいちいち入力して初めて捜し求める漢字が出たものです。きわめてフラストレーションのたまる作業でした。昔に比べ楽になったとはいえ、JIS第2水準の卑猥漢字を出すには苦労することにはなんら変りありません。
 その苦労を軽減するために、パソコンには「単語登録」という便利な機能がついています。どんなにまれな漢字でも一度単語登録を行っておけば、たとえJIS第2水準漢字に属する卑猥漢字であろうが必ず一発で希望通りの文字に変換されます。
 この便利な機能を有効利用しない手はありません。
 友達からパソコンを借りたときは、お礼に自分の知る限りの卑猥単語を漢字登録しまくってあげてからパソコンを返しましょう。
 あなたからパソコンを返してもらった友人は、職場や自宅で、あたりを見回して誰もいないことを確認した後に卑猥な言葉をこっそりとタイプし変換キーを押します。その際、意外にも一発でそのものズバリの卑猥漢字が友人のパソコンのディスプレイに出現します。
 友人は大感激でしょう。その喜びは何物にも代えられません。
 友人はなぜかと疑問に思い、すぐに単語登録一覧表を確認します。そして、おびただしい数の猥褻単語が漢字登録されていることを知ります。
 友人はその登録を行ったのがパソコンを貸したあなたであることを悟り、あなたを真の友人として尊敬するはずです。
 仲のよい友達に対してはそうすべきですが、嫌いな友人にはそんな親切をしてやる必要はありません。大嫌いな奴のパソコンは、そいつがいないときに無断で勝手に失敬して、適当な平仮名にまったく関係のない卑猥漢字を登録しまくってやりましょう。その友人がパソコンで文章を作成しているときにパニックに陥ることは間違いありません。。
 相手を混乱させるだけで変換後の文章が意味のないものになるのは嫌だという方は以下のような単語登録がお勧めです。
 使用頻度の非常に高い代名詞、たとえば「わたし」や「かれ」などの文字に、それぞれ「○○○を一日最低3回もしている私」、「×××が三度の飯より好きな彼」というような単語登録してやります(○○○、×××にはあなたの好みの卑猥単語を入れてください)。
 こうしておけば、友人が「わたしは、かれがだいすきです」とタイプして変換キーを押すと「○○○を一日最低3回もしている私は、×××が三度の飯より好きな彼が大好きです」と、必ず意味の通った文章となり、友人は思わずニヤけます。


作者の
コメント
掲示板にまったくくだらないメッセージを書きました。猛省しています。
(作者:フヒハ)

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