前置き 1992年頃、大手パソコン通信ネットの掲示板に書き込んだメッセージ

女性の方々、ナンパメール撃退法をお教えします
  ネット上で、女性だとわかるとナンパ目的のメールばかり送り続ける不届き者が大勢いて、あなたもさぞかしお困りのことでしょう。
  こういう野郎どもは、どうせ友達なんか1人もいなくて、学校に提出する交友関係調査票の友人名欄には仕方なく「九八○一」などと、唯一の友といえるNECのパソコンのモデル名を書いているのです。
  それを見た担任の教師もどうせ頭が悪いから、世の中変わった名前があるもんだなあ、と感心し、同僚に「日本で最も珍しい名前をご存知ですか?」などと馬鹿な質問を浴びせ、聞かれたほうもアホだから「くわ・まるいちと読むのですかね」などと言って応じているのです。
  さて、今回は、ナンパメールで多大な迷惑を受けておられる女性の方々のために、その撃退法を考案いたしました。執拗なナンパメールに悩まされている方にそっとお教えします。どうぞ自由にご活用ください。

その1:
無視する。何度メールを送ってこようが、徹底的に無視する。一応読んでもいいが、ハードディスクやMOなどに絶対に保存しないこと。ただし、そいつからの200回目くらいのメールの中で「俺には慶応大学に通うハンサムな男友達がいて、君に紹介できるかもしれない」と書かれていた場合は、それが事実かどうか確認するためにメールを送る。
その2:
「私には、将来の結婚を見据え、真剣にお付き合いをしている男性がおります」という一文を入れたメールを送る。実際にそんな恋人がいようが、いまいがまったく構わないから、とにかくそうに書いて相手にあきらめてもらう。ただし、そいつがしつこくて未練がましい男の場合は、「だったら、その恋人の名前を言ってみろ」と要求してくることがあるが、その場合は、適当にいい加減な名前を考えて、書いてやればいい。万が一、適当に書いた名前と、しつこくナンパメールを送り続ける奴の姓名が完全に一致してしまっていた場合は、あきらめてつき合う。
その3:
「ごめんなさい。私は実は男なのです」と、自分はネットカマであると告白した内容のメールを送る。これで99%以上の野郎どもは、あなたにナンパメールを送らなくなる。しかし残りの1%の奴は、「畜生! 男でもいい」とやけになり、相変わらずメールを送り続ける。そのような場合は、最も執念深い奴の、連絡先の入りの迷惑ナンパメールを他のしつこい者どもに転送してやり、事態を静観する。数日後の朝刊の三面記事に「パソコン通信殺人事件」という見出しを見つけたら、「こーもりだけーが知っている」と黄金バットの歌を口ずさむ。
PS:
もっといい方法はないのかしら、と思っていらっしゃる女性の方には、私が個人的にメールでお知らせいたします。メールには年齢、電話番号、芸能人だったら誰に似ているか、を必ず明記してください。

作者の
コメント
自称・坂口靖子似の二十歳の女子大生という方から電話番号入りのメールをいただきました。
早速そこに電話すると、例の「この電話番号は現在使われておりません・・・」というやつでした。彼女が番号さえ書き間違えなければ・・・、と非常に悔やんだものです。
「9801」とは、当時の日本のパソコン売り上げ台数で断然トップであったキューハチの1モデルです。
(作者:フヒハ)

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