前置き 1992年頃、大手パソコン通信ネットの掲示板に書き込んだメッセージだが、今の時代に合わせるため、内容をインターネットに対応したものに書き換えてある。

全国の女子大生921人紹介します
 あなたは今、このタイトル、「女子大生」と「紹介します」という2つの刺激的な語句を含み、しかもその数がなんと921人という、非常に魅力的なタイトルにマウスポインタを当て、その内容を読むために選択(クリック)しました。
  あなたが行ったことは男としては、ごく自然な行為といえます。このメッセージをきっかけにしてピチピチの女子大生と知り合いになれるのではないか、飲みに誘ったら来てくれるのではないか、ぐでんぐでんに深酔いした彼女をアパートまで肩を抱いて送り届けることになるのではないか、そうなったら、あわよくば・・・、などと考えることは、男だったら当たり前で、それ自体まったく異常なことではありません。問題となるのは、このメッセージにたどり着くまでの過程です。

  あなたが実際にどのような経過を経てこの本文まで来たかによって、あなたが気付かなかった自分自身の変質性を診断することができます。
  皆さんも、自分が以下に掲げる7つの分類のどれに属するかを見つけ、自己の奥底に潜む潜在的変態性(アブノーマリティ)を具体的に把握し、今後の人生設計に少しでも役立ててもらえれば幸いです。

タイプA:
興味の有りそうなタイトルに思うままにマウスポインタを当ててクリックし、それらのメッセージを読んでおり、そのうちの1つがたまたま、この「全国の女子大生921人紹介します」だった方

タイプB:
タイトル一覧を下にスクロールさせているとき、何気なくこの「全国の女子大生921人紹介します」というタイトルが目に入ってしまい、本当はすぐにその本文を読みたかったのだが、恥ずかしさからそれができず、他のタイトルをクリックしてメッセージをいくつか読んだ後、ついでだから読んでみた、という態度を装って、このメッセージに到達された方

タイプC:
普段はタイトル一覧画面で、タイトルをひとつひとつ詳しく読んで、本文が自分に利益のあるものだと推測されるものだけをピックアップして本文を見ているいるのだが、今回は「女子大生」の文字が瞬時に目の中に飛び込んできて、頭で考える前に右手はもうこのタイトルの上にマウスポインタを合わせてクリックしていた方

タイプD:
タイプC同様、「女子大生」の文字を一瞬にして見つけ出したのだが、右手の暴走を制御するだけの理性があり、さらにタイプB以上の恥ずかしがり屋のため、他のタイトルをいくつかクリックしてメッセージを読んでみるのだが、頭の中は、この「全国の女子大生921人紹介します」で一杯なため、どの文章を読んでもまったく頭に入らず、そんなに見たいのならすぐにこのタイトルをクリックすればいいものを、人一倍のプライドからまだ「今日の掲示板のメッセージはどれもつまらない」などとつぶやきながらパソコンの電源を切り、会社に仕事をしに出かけてしまうという暴挙に出るのだが、このタイトルのことが一時足りとも頭から離れなくて仕事がまったく手につかず、仮病を使って早退し、家に着くと一目散にパソコン電源を入れ、やっとこさこの「全国の女子大生921人紹介します」の本文ににたどり着いた方

タイプE:
会社を早退するところまではタイプDとまったく同じだが、家に帰ってもすぐにはパソコンの前には座らず、病気でもないくせに早退した理由を正当化するためか、風邪薬などを大人の規定量より多めに服用してベッドに入り、自分自身が原因を一番よく知っているくせに「今日はどういうわけだか、寝つけないなあ」とため息をついて起き上がり、眠くもない目をこすりながらパソコンの電源を入れ、とうとうこの「全国の女子大生921人紹介します」のメッセージを読むことができた方

タイプF:
とんでもない演技をしてやっとパソコンの電源を入れるところまではタイプEと変わりないのだが、この場に及んでもまだ見栄を張り、本当はこの「全国の女子大生921人紹介します」にがぶりつきたいくせに、Wordや一太郎などのアイコンをクリックしてワープロソフトを起動してしまい、仕方がないので何かを書こうとするのだが、「女子大生」と「紹介します」の2文字入りのタイトルのことが気になるため、まったく日本語になっていない文章を延々と入力した後に、「今日は筆が立たない」などとわけの分からないことをぬかすのだが、たった1つのメッセージを読むのに半日以上もの時間もかけているという愚かしさにやっと気付き、素直にブラウザーを起動してインターネットを始め、遂に、このメッセージに到達できた方

タイプG:
たった1つのメッセージを表示させるのに12時間以上もの時間を費やしているという馬鹿馬鹿しさに気付き、インターネットを始めるところまではタイプFとまったく同じだが、掲示板のタイトル一覧が表示されてもいきなり「全国の女子大生921人紹介します」をクリックせず、これ以外のものをすべてクリックして本文を読みまくり、これが最後だから仕方がなかったという口実を準備しておき、だめ押しに、電車の最後尾にいる車掌が駅に着くたびに行っているように、右手の人差指で前後左右を指し示しながら、「前後異常なし」、「左右異常なし」と口に出して叫び、パソコンの前に座っている自分の周りには誰もいないことを確認するという、石橋の上に吊り橋を掛けて渡るほどの慎重さを伴って、とうとう、待ちに待った念願のタイトルをクリックして、このメッセージにアクセスした方

解説とアドバイス

タイプAの方:
ごくごく正常ですので、何も気になさらずに、今までどおりネットサーフィンを楽しんでください。

タイプBの方:
ちょっぴり恥ずかしがり屋さんですが、そんなに心配することはありません。正常です。

タイプCの方:
体が本能的に行動してしまうという癖がありますが、異常とまでは言えません。

タイプDの方:
人間は誰しも多かれ少なかれプライドを持っていますが、あなたの場合は少し異常と言わざるを得ません。

タイプEの方:
病気でもないのに薬を飲むのは体に毒ですから、おやめください。

タイプFの方:
一度病院に行ってお医者さんに診てもらうことをお勧めします。

タイプGの方:
私と性格が一致しそうなのでぜひお友達になって下さい。



作者の
コメント
大量の非難メールと、それ以上の、このメッセージを絶賛するメールが届きました。その後、「女子大生」の部分を「美男子」と変えて再び登録してみたのですが、それに対してはまったく反応がありませんでした。
(作者:フヒハ)

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